高校数学のその先にある世界――大学で出会う「線形代数」とは?
高校の授業で「数Ⅰ・数Ⅱ・数B・数C」……と聞いただけで、うんざりしてしまう人もいるかもしれません。
ベクトル、三角関数、微分、数列、行列。
「これって将来使うの?」「なんの役に立つの?」と、ふと思う瞬間があるでしょう。
でも、その疑問にはっきり答えましょう。
今の高校数学は、大学で学ぶ“本格的な数学”の入り口に過ぎません。
◆ ベクトルは、線形代数の入り口だった
高校数学で出てくる「ベクトル」は、「向きと大きさを持った量」として扱われますが、
実はこれは、大学で学ぶ 線形代数(Linear Algebra) という分野のほんの一部にすぎません。
線形代数では、1本のベクトルではなく「ベクトルの集まり」や「ベクトルの変形」を数学的に扱います。
そして、その操作は 行列(マトリクス) という数字の表で表されます。
◆ 高校数学=手で解く、大学数学=仕組みを知る
たとえば、高校では「ベクトルの内積」「三角形の面積」など、公式を使って問題を解きます。
一方で大学では、それを 抽象的に捉えて、定義し直し、「なぜそうなるのか」を考えます。
線形代数は「理系」だけでなく「文系」でも学びます。
経済学・心理学・教育学・情報科学・建築……多くの学問分野の“共通言語” になっています。
◆ 線形代数が“使われている”リアルな世界
線形代数は、こんな場面で使われています:
- 画像処理(スマホのフィルター、画像の回転・拡大)
- AI(ChatGPTなどの自然言語処理、機械学習モデル)
- ゲーム開発(キャラクターの動き、3D空間の描画)
- 経済分析(多変量データの処理、景気予測)
- 建築・設計(構造計算、力の分解)
- 交通シミュレーション(最短経路、混雑予測)
- 天気予報(大量の観測データを計算)
- 音声認識(周波数成分の変換やノイズ除去)
「将来AIをやってみたい」「経済を学びたい」「ゲームを作ってみたい」と思っている人ほど、
線形代数とは切っても切れない関係なのです。
◆ 「今の学び」が将来の自分を助けてくれる
「ベクトルって意味あるの?」「行列なんて使わないでしょ?」
そう思うかもしれません。でも、大学でそれが“つながる瞬間”が来ます。
逆に、高校のうちに「これは将来こうつながる」と理解しながら学んでいる人は、
大学や社会に出てから一歩先を行く存在になります。
高校数学は、テストのためだけの知識ではなく、
将来の可能性を広げるパスポートなのです。
◆ おわりに
「線形代数」は、まだ馴染みがないかもしれません。
でもそれは、大学で出会う“数学の本番”です。
今取り組んでいる高校数学は、その扉を開く鍵です。
ぜひ、「なんの意味があるのか」と悩んだときこそ、
その先にある世界の広さを思い出してみてください。
数学で人生の選択肢が増える。
そんな未来を、一緒に目指していきましょう。
📚「差のつく!読解のチカラ育成講座シリーズ」記事一覧
- ① “国語が苦手”は勘違い?読解力の正体、教えます
- ② “読めてるつもり”が一番危ない!読み飛ばし世代に欠けている力
- ③ 応用問題が解ける子の秘密は“読む力”にあった!
- ④ 読解力は国語だけの話じゃない!算数・理科にも効く“読みの技術”
- ⑤ 説明文が苦手な子に足りないのは“読書”じゃなく“論理力”
- ⑥ 小論文・推薦入試で差がつく!読解力×論理力の真価とは
- ⑦ 本を読むだけでは“読解力”は育たない?間違った読解力の鍛え方
- ⑧ “選択肢の消去法”で点が取れない子へ。論理的に読む力、ついてますか?
- ⑨ 読解力は“後からでも”伸ばせる?苦手意識をひっくり返す塾のトレーニング
- ⑩ 読解力と成績の相関関係|トップ層が必ず持っている“読みの技術”