「数学、ニガテなんです……」
そう言って面談にやってきた、ある高校1年生の生徒さん。
「まずは実力を見せてもらおうか」と、私が出したのはごく一般的な問題。
- 一次方程式
- 連立方程式
- 確率の基本
- 平面上の2点を通る直線の式
- 二次関数の頂点の求め方(平方完成)
どれも、高校入学から3ヶ月ほどで学校で習う範囲内のものです。
解答を見て、まず驚きました。
計算用紙には、式の変形がきちんと並び、考え方の道筋がしっかりしています。
途中で丁寧に区切った記号。自分で組合せの式を作って、分母と分子を分けて書く。
「これは……苦手というより“慎重派”なのでは?」と思うほどの誠実な取り組み方でした。
実際、こんな感じでした:
- 方程式・連立方程式 → 正解
- 関数のグラフ → 式の書き方もOK
- 直線の式 → 点と傾きを正確に把握
- 確率 → 概念は正しい。表記だけミス
- 二次関数の頂点 → 符号ミスで惜しい!
正直、「これでニガテって……?」というのが率直な感想です。
原因は、「わかってない」ではなく「見直してない」
この生徒さんの答案に共通していたのは、
- 途中までは合ってるのに、最後の符号がミス
- 式の立て方は正しいのに、計算の途中で分母と分子を取り違えた
つまり「わかってない」わけではなく、「見直してない」のです。
それも、焦りや自信のなさから「見ないようにしてしまっている」感じが、
なんとなく筆跡からも伝わってきました。
面談では、こんなふうにお伝えしました。
「これは“できてない”んじゃない。“できるのに仕上げきれてない”だけ」
「頭はいい。だから“もったいない”で終わらせたくないんだよね」と。
そのうえで、実はもうひとつだけ——
私が気になっていた点について、やんわりとお話ししました。
実は「姿勢」がすべてを左右する
ここでいう「姿勢」には2つの意味があります。
1. 物理的な姿勢(姿勢=集中力)
人間は、足を組まず、胸を開いてまっすぐ座っているときに、
もっとも集中力が高まると言われています。
これは、筋肉の緊張や呼吸の深さ、視線の安定など、科学的な根拠もある話です。
この生徒さんも、少し猫背になりながら、
「どうせできないから……」と、どこか自分を抑えているような仕草でした。
でも、問題を解き進める手は軽快。
つまり、力はあるのに“その気”になっていないだけなのです。
2. 勉強に向き合う姿勢(姿勢=意欲)
どんなに才能があっても、
「学びたい」「もっとできるようになりたい」という気持ちがないと、
知識も技術も身についていきません。
でもそれは、最初から完璧な姿勢を求めるということではありません。
知らない塾の先生の前で、初対面で、いきなり胸を張って堂々と話せる生徒さんなんて、そうそういません。
むしろ、少し遠慮しながらでも、自分の弱点を「数学ニガテ」として口にできたこと自体が、
すでにひとつの成長だと私は思っています。
まとめ:お子さんは「本当は頭がいい」んです。
こうした生徒さんに出会うたびに、
「この子、頭いいなあ……」と感じます。
そしてその力を、うまく“表に出す”お手伝いができるのが、
私たちの仕事だと思っています。
今回のような「よくある失点」と「実はかなり高いポテンシャル」について、
もしご不安やご質問があれば、ぜひ一度ご相談ください。
「ニガテ」が「得意かも?」に変わる瞬間、一緒に作っていきましょう。
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