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日本人がうなぎを食べられなくなる日──身近な“食”から学ぶ、資源の授業

絶滅危惧種として描かれたニホンウナギの縦長イラスト

夏になると、スーパーの店頭に並ぶうなぎ。
「土用の丑の日だから食べようね」――そんな会話が、日本の家庭では長く親しまれてきました。
しかし近年、「このままでは日本人がうなぎを食べられなくなる」という指摘が、専門家の間で現実味を帯びています。
塾として、日々子どもたちの学びに向き合う立場から、今回はこの話題を“教育の視点”で読み解いてみます。

目次

■ なぜ、うなぎは減っているのか?

最大の理由は、ニホンウナギの深刻な資源減少です。

  • 国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定
  • シラスウナギ(稚魚)の漁獲量が激減
  • 違法取引による乱獲
  • 河川環境の悪化

特に大きいのが、完全養殖が確立していないことです。
うなぎは成長の仕組みが複雑で、養殖のためにも天然のシラスウナギを必要とします。
つまり、稚魚が獲れなければ、養殖もうなぎも作れないという構造です。

■ 私たちの“当たり前”は、いつでも変わりうる

もしこの流れが続けば、うなぎは日常の食卓ではなく、特別な場面だけで食べる“高級食材”になる未来もありえます。

これは単なる食材の話ではありません。
「当たり前にあると思っていたものが、実は非常に繊細なバランスで成り立っていた」
という事実そのものが、子どもたちにとって大切な学びです。

■ うなぎ問題は、総合学習そのもの

実は、うなぎをめぐる話には学校で学ぶ各分野が盛り込まれています。

  • 理科: 生態系・環境問題
  • 社会: 国際資源・経済・貿易
  • 数学: データ分析、漁獲量の推移
  • 国語: 伝統文化の継承
  • 倫理: 持続可能な消費と選択

つまり、うなぎの話は「食べられなくなる」という悲観だけで終わるものではなく、
教科横断的な“教養の素材”として活用できるテーマなのです。

千尋進学塾でも知識の詰め込みだけでなく、自分で考える力を育てることを重視しています。
この話題はまさにその入口になります。

■ 私たち消費者にできる小さな選択

一般家庭でも、未来のうなぎ資源に貢献できる行動があります。

  • 認証付き(ASCなど)のうなぎを選ぶ: 持続可能な漁業を支援することにつながります。
  • 安すぎるうなぎを避ける: 違法に獲られたシラスの流通を防ぎます。
  • 「特別な日のごちそう」として大切にする: 頻度を抑えることで文化と資源を守れます。

■ 塾として伝えたいこと

うなぎの減少は、一見すると“食べ物の話”ですが、本質は
「未来を守るために、今できる選択を考えること」
にあります。

これは進路選択や日々の学習にもよく似ています。
今日の小さな一歩が、未来の大きな結果につながる。
“当たり前”は当たり前ではない――だからこそ、子どもたちには変化に気づき、考え、行動できる力を育てたい。

今回の話題が、そんな学びのきっかけになれば幸いです。

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