「AIが発達すれば、未来のことは全部わかるようになる」
そんな言葉を、最近よく耳にします。
たしかに、スーパーコンピューターやAIの計算能力はすさまじい。天気予報も、昔とは比べ物にならないほど精度が上がりました。
しかし、それでもなお――スーパーコンピューターでも予測できないものがあります。
今日は、その話をしたいと思います。テーマは、意外にも「木の葉」です。
1. 木の葉が落ちる軌道は予測できない
木の葉が枝から離れて、地面に落ちる。そんな現象は、誰もが見たことがあるはずです。
でも、よく考えると不思議です。
- どの方向へ落ちるのか
- どんな回転をしながら落ちるのか
- どこに着地するのか
これを「完璧に予測する」ことは可能でしょうか?
結論から言えば、ほぼ不可能です。
なぜなら、木の葉が落ちるときには、計算に必要な条件があまりにも多いからです。
2. 計算が難しいのではなく「測れない」のが致命的
ここで重要なのは、こういうことです。
スーパーコンピューターが負ける理由は、計算力の不足ではない。
最初の条件を正確に測れないことが原因だ。
葉っぱの落下に影響する条件は、数え上げればキリがありません。
たとえば――
- 葉の形、反り具合、ちぎれ具合
- 葉の湿り気、重さ、表面の凹凸
- 空気の流れ(風)だけでなく「乱流」
- 周囲の温度差で起こる上昇気流
- 落ちる瞬間の角度、速度、回転
これらをすべて完全に測定し、完全に入力する。それができなければ、どんな計算機も正しい答えは出せません。
そして現実には、そんな測定はできません。
3. 「ちょっとした誤差」が大きな差になる世界
さらに厄介なのが、ここです。
葉っぱの落ち方は、ほんのわずかな差が、結果を大きく変えます。
- 初期角度がほんの少し違う
- 風がほんのわずかに変わる
- 空気が一瞬だけ渦を巻く
この程度の違いが、数秒後にはまったく違う軌道・着地点を生みます。
この現象を、科学では
カオス(Chaos)
初期値鋭敏性
と呼びます。
つまり、世界は「完全に予測できる設計」になっていない。そういうことです。
4. 天気予報も同じ:予測できないから「確率」を使う
この話は、「天気予報が当たりにくい理由」にも直結します。
天気予報の計算は、人類の持つ科学技術の中でも最前線です。スーパーコンピューターを使い、膨大な観測データを入力し、巨大なシミュレーションを回します。
それでも「1週間後の天気が外れる」ことがある。理由は同じです。
- 大気は巨大な流体であり
- 乱流が常に起きていて
- 初期条件を完全には測れず
- わずかな誤差が時間とともに増幅する
だから天気予報は、ある地点で「完全な予測」を諦めます。そして、こう表現します。
- 降水確率30%
- 曇りのち雨
- 雨の可能性あり
これは科学の弱さではありません。むしろ逆です。
予測できないことを前提にした、最も誠実な表現が「確率」なのです。
5. 「予測不能」は科学の敗北ではなく、現実への敬意
私たちはつい、こう思ってしまいます。
「当たらない予測は価値がない」
「コンピューターがすごいなら全部わかるはずだ」
でも実際は、
- 予測できないものが存在する
- その理由は計算力ではなく、世界の繊細さにある
- だから人類は「確率」という形で最適解を作ってきた
という構造になっています。
つまり――
スーパーコンピューターの限界は、計算の限界ではなく、世界がもともと予測不能であることの限界。
この視点は、私たちが「未来」について考えるときに、とても重要だと思います。
6. そしてこれは「学習」にも似ている
最後に、塾を運営する立場として少しだけ触れます。
学習もまた、未来が完全に予測できるものではありません。
- 同じ教材
- 同じ授業
- 同じ時間
それでも、結果には差が出ます。
なぜか。
たった0.1の理解の差、たった1日分の習慣の差が、数か月後には大きな差になるからです。
だから私たち教育者の仕事は、「未来を断言すること」ではなく、
未来の可能性を最大化すること
成功の確率を上げること
だと考えています。
まとめ
- スーパーコンピューターが予測できないものがある
- 原因は計算力ではなく「初期条件が測れない」こと
- わずかな誤差が大きく増える現象=カオス
- 天気予報も同じ構造で、確率表現が最適解
- 予測不能は科学の敗北ではなく、現実への敬意
- 学習も同じで、確率を上げる設計が重要
📚「差のつく!読解のチカラ育成講座シリーズ」記事一覧
- ① “国語が苦手”は勘違い?読解力の正体、教えます
- ② “読めてるつもり”が一番危ない!読み飛ばし世代に欠けている力
- ③ 応用問題が解ける子の秘密は“読む力”にあった!
- ④ 読解力は国語だけの話じゃない!算数・理科にも効く“読みの技術”
- ⑤ 説明文が苦手な子に足りないのは“読書”じゃなく“論理力”
- ⑥ 小論文・推薦入試で差がつく!読解力×論理力の真価とは
- ⑦ 本を読むだけでは“読解力”は育たない?間違った読解力の鍛え方
- ⑧ “選択肢の消去法”で点が取れない子へ。論理的に読む力、ついてますか?
- ⑨ 読解力は“後からでも”伸ばせる?苦手意識をひっくり返す塾のトレーニング
- ⑩ 読解力と成績の相関関係|トップ層が必ず持っている“読みの技術”




