今回は少し専門的だけど、お子さまの学校や教育に深く関わる「教育長」「教育委員会」「学校の先生の所属」についてお話しします。きっかけは、名古屋市の教育長が新しく変わるというニュースです。
普段はなかなか触れる機会が少ないこのテーマですが、学校の運営方針、先生たちの働き方、教育の質にまで関わる重要な内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
■ 名古屋市の教育長が交代へ
2025年6月、名古屋市では新しい教育長として杉浦弘晶氏(文部科学省出身)が就任する予定です。
「教育長って、何する人なの?」と疑問に思われた方も多いと思いますが、実はこの役職、地域の教育行政を大きく左右する超重要ポストなんです。
■ 教育長とは?──教育行政の“現場総監督”
教育長とは、教育委員会の方針に基づき、地域の教育政策を実行していく責任者です。
- 学校の設置・統廃合
- 教職員の人事(採用・異動・処分)
- 教育施策の実行(ICT化、いじめ対策など)
- 学校施設の整備
- 生涯学習や図書館など社会教育の推進
これらを取りまとめているのが教育長。
かつては教育委員の一人でしたが、現在は教育委員とは別に設置される常勤の“執行トップ”として制度化されています。
■ 教育委員会とは?──教育のための“ミニ議会”
教育委員会は、市や県の中にある教育分野に特化した議決機関です。構成は以下のとおり。
- 教育委員(非常勤):地域住民や有識者など。4人が基本。
- 教育委員長:教育委員の中から互選で選ばれる。
- 教育長(常勤):教育委員とは別。実務の執行者。
教育委員会は、住民の立場から教育政策を考え、「どんな教育を地域で行うか」を決める役割を持ちます。一方で、教育長はその決定をもとに、教育の現場を動かしていく役割を担います。
教育委員会 = 教育の方針を話し合う人たち
教育長 = 方針を現場で実行する人
■ では、学校の先生たちの所属は?
先生たちの行政的な立場は以下のとおりです。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 所属 | 教育委員会(市町村または都道府県) |
| 日常業務の管理者 | 校長(学校管理職) |
| 人事(採用・異動など) | 教育長のもとで実行 |
| 給与支給 | 地方自治体(県や市) |
つまり、先生たちは教育委員会の職員でありながら、現場では校長の指揮のもとで働いているという構造になります。
■ 先生たちは“出向”しているって本当?
先生たちは教育委員会から学校に“派遣”されて勤務しているという形になっています。
本籍:教育委員会
勤務先:学校(校長のもと)
異動や昇進は教育委員会が決めますが、日々の勤務指導は校長が行います。
■ 名古屋市は特別?──政令指定都市の仕組み
名古屋市のような政令指定都市では、都道府県から教育に関する権限を一部移譲されており、教育委員会も独自に教職員を採用・配置できます。
◆ 名古屋市の例
- 教員の採用試験:愛知県とは別に名古屋市が独自実施
- 人事・異動:名古屋市教育委員会が単独で行う
- 給与:名古屋市が支給
つまり、名古屋市立中学校の先生は「名古屋市の職員」なのです。
■ どんなメリットがあるの?
政令市には以下のようなメリットがあります。
- 地域の実情に合った教育政策の設計ができる
- 独自の研修・人事異動で教育力向上が可能
- 地元密着型の学校運営がしやすい
■ 教員採用試験も別!
名古屋市は独自に教員採用試験を実施しており、愛知県との併願はできません。
- 試験時期:6〜7月出願 → 秋に一次試験
- 勤務校:名古屋市立学校のみ
■ おわりに:教育のしくみを知ることが、子どもを守ることにつながる
「教育委員会? 教育長? なんだか遠い世界の話だな…」と思われるかもしれませんが、学校で働く先生やお子さまの学びの環境は、こうした制度のもとに支えられています。
名古屋市の教育長交代というニュースも、「誰がこの地域の教育の舵を取るのか?」という視点で見ると、ずっと身近に感じられるはずです。
千尋進学塾では、こうした制度の理解を通じて、お子さまの進学や学びをより良いものにしていくお手伝いをしています。お気軽にご相談ください。
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