「冷凍マグロが蓄電池代わりになるらしい」
最初に聞いたとき、思わず「え?」と声が出ました。
しかしこれはただの比喩ではありません。実際に、静岡県焼津市にある冷凍マグロの巨大倉庫が、地域の電力調整に使われる仕組みとして注目を集めています。
今回は、中部電力ミライズ・前川製作所・シズオカコールドストレージの三社が取り組む最先端のエネルギーシステムを、教育的な視点も交えてご紹介します。
【1】なぜ“冷凍マグロ”が蓄電池になるのか?
静岡県焼津市にあるシズオカコールドストレージの冷凍マグロ倉庫は、庫内温度がマイナス60℃。
この超低温を保つために、空気を冷媒とする冷凍システム「PascalAir(パスカルエア)」が導入されています。
ここでポイントなのが、「冷やしすぎておくことができる」という性質。
電力に余裕がある時間帯に庫内をしっかり冷やしておき、電力が逼迫する時間には冷凍機の稼働を一時的に止める。
これが“蓄電池のような役割”を果たす仕組みです。
倉庫内のマグロ自体が「保冷剤」の役割を果たすため、短時間であれば冷却を止めても温度が下がらないのです。
「マグロが地域を守る」という画期的な発想ですね。
【2】3社による本格的なプロジェクト始動
このシステムの実用化には、以下の3社が連携しています。
- 株式会社前川製作所(東京都江東区):空気冷凍システムの提供
- 中部電力ミライズ株式会社(愛知県名古屋市):自動制御システム「MiFFS」運用
- 株式会社シズオカコールドストレージ(静岡県焼津市):冷凍マグロ倉庫の運用者
2025年度の需給調整市場(三次調整力②)への正式参入も予定されており、国内初の試みとなります。
【3】MiFFSとPascalAirが支えるスマート冷蔵庫
中部電力ミライズの高速自動制御システム「MiFFS」が、クラウド経由で冷凍機に信号を送信。
「PascalAir」はそれを受信し、自動で電力消費を調整します。
操作はすべて自動。
人手による操作は一切不要で、現場の負担をかけずに地域エネルギーへの貢献が可能です。
【4】脱炭素・省エネにも効果あり!
「PascalAir」は、冷媒に空気を使うため、
- オゾン層破壊係数(ODP)ゼロ
- 地球温暖化係数(GWP)ゼロ
- 従来方式より最大50%の省エネ
環境にも優しい、次世代の冷却システムです。
【5】教育的な視点での活用案
この話題は、中高生の学びにもつながります。
- 理科:エネルギーの変換や熱移動の学習に
- 社会:地域産業や再エネ政策との関連
- 総合探究:持続可能な社会づくりの題材に
「教科書では学べないリアルな現場」を知る絶好の機会です。
【6】教室長からひとこと
千尋進学塾では、こうしたニュースからも学びを広げ、
「知識の先にある社会」まで見通せる力を育てていきます。
「冷凍マグロが地域を支える」というテーマから、
自分の将来に少しでもヒントを得てくれたら嬉しいですね。
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