数学の授業をしていると、
「公式って、なんで覚えなきゃいけないんですか?」
と尋ねられることがあります。
たしかに、公式を丸暗記するだけでは“味わい”がありません。しかし――
公式がどんな世界を見せてくれるのか に触れた瞬間、学びは一気に魅力を増します。
今日は、その好例として
(1 + 1/n)n > 2
という有名な不等式をテーマに、数学の面白さをお届けします。
◆ なぜ突然こんな式? と思うかもしれませんが…
実はこの式、高校数学では 二項定理(ニ項展開) を学んだ直後に扱う“おいしい問題”です。
結論からいうと、
二項定理で展開すると、2より大きくなる理由が“一目瞭然”になる。
という非常に美しい仕組みが隠れています。
◆ 二項展開は「未来を細かく分解して見る道具」
二項定理は次のような公式です:
(1 + x)n = C(n,0) + C(n,1)x + C(n,2)x2 + … + C(n,n)xn
ここに x = 1/n を入れると、
(1 + 1/n)n = 1 + n × (1/n) + C(n,2)/n2 + C(n,3)/n3 + … + C(n,n)/nn
最初の 2 つの項は
1 + 1 = 2
そして残りの項は 全部プラス です。
つまり、どう考えても
(1 + 1/n)n > 2
になるわけです。
難しい計算をしなくても、構造を見るだけで分かる――これが数学の醍醐味ですね。
◆ 学びの本質:分解すれば“見える世界”が変わる
この問題の美しさは、数学に限った話ではありません。
- 勉強の計画を「毎日の行動」に分解すれば実行しやすくなる
- 大きな目標を「小さな積み重ね」に分解すれば成果が出る
- 複雑な問題も「要素」に分解すると本質が見えてくる
まるで二項展開そのものです。
細かく分けて、正の要素(伸びる要素)を積み重ねる。
塾の学習指導も、まさにこの思想で設計しています。
◆ 千尋進学塾が大切にしている“積み上げの哲学”
例えば中学生なら、こんなサイクルを大切にしています。
- 予習型授業で「わかる状態」を先に作る
- 小テストで小さな成功体験を積む
- 定期テストで成果を測り、次の課題へフィードバック
- 6人までの少人数だから、一つひとつの伸びを確実に拾う
これはまさに「プラスの項を増やし、積み上げる」という数学と同じ発想です。
生徒の努力は、指数関数のように「ゆっくり → 加速」へと変化していくもの。
その変化を、私たちは授業と伴走指導で支えていきます。
◆ おわりに:数学は“役に立つ”か?
今日の不等式
(1 + 1/n)n > 2
は、ただの数字遊びに見えるかもしれません。
しかし、この式の背景には
- 物事を分解して考える力
- 本質に迫る視点
- プラスの積み重ねを重視する思考
など、人生や学習そのものに通じる価値があります。
数学を学ぶ意味は、
「考え方の武器を手に入れること」
と言ってもよいでしょう。
千尋進学塾では、単なる知識の暗記ではなく、
こうした“考える力”そのものを育てる指導を続けています。
数学の問題一つひとつが、皆さんの未来を少しずつ押し上げる
“プラスの項”になってくれれば幸いです。




