医師国家試験の合格率から見る、優秀な医学部とその見極め方
はじめに
医師を志すご家庭、とりわけ保護者が医師である場合、「どの医学部に進学するか」は単なる進学先選びを超えて、職業的未来を左右する重要なテーマです。そんな中、厚生労働省が毎年発表している「医師国家試験の学校別合格者状況」は、非常に貴重な判断材料となります。
この記事では、直近7年分のデータ(第112回〜第118回)をもとに、医学部の実力を見極めるためのポイントと、見逃せない注意点をわかりやすく解説します。
1. 合格率が高い=優秀な大学?そのカラクリ
一見すると「合格率が高い大学=良い大学」と見えますが、その数字の裏には“進級基準の厳しさ”という要素が関係している場合があります。 つまり、卒業試験や国家試験出願前に“見込みのない学生”が進級できないことで、受験者数が絞られ、結果的に合格率が上がる構造になっている大学も存在します。
したがって、「新卒合格率」「出願者数と受験者数の差」に注目することで、実態に近い評価が可能になります。
2. 安定して高い実績を出している大学(実力派)
国公立
- 東京医科歯科大学(新卒合格率 97〜100%)
- 筑波大学(99%前後を安定維持)
- 信州大学、滋賀医科大学、山梨大学なども高水準
私立
- 自治医科大学(全国トップ級、連続で100%)
- 順天堂大学、東京慈恵会医科大学
- 大阪医科薬科大学、藤田医科大学、兵庫医科大学
これらは「新卒合格率が高い」ことが特長です。
3. 進級基準が厳しく、受験者数が絞られる傾向がある大学
例
- 帝京大学医学部(出願170→受験164→合格146)
- 川崎医科大学(出願167→受験117→合格106)
これらの大学では、出願者に対して受験者数が大きく削減されている傾向があり、学内での進級基準が厳しいことで、受験前に一定数が受験できない状況が発生していると考えられます。
4. 合格率が低く、課題が見られる大学
例
- 久留米大学医学部(第117回:77.8%、第118回:82.2%)
- 東海大学、福岡大学なども90%未満の年が複数回
こういった大学では、教育体制・学生支援・入学時の学力などに課題が残っている場合があります。
5. 専門予備校による情報発信も参考に
メディカルラボなどの医学部専門予備校は、厚労省のデータをもとにしたランキングや偏差値情報を発信しており、非常に参考になります。
> 参考リンク:医学部合格率ランキング(医学部受験ラボ)
こうした外部サイトと併せて、厚生労働省発表のデータを「正しく読み解く力」を持つことが、真に賢い医学部選びにつながります。
おわりに
数字には意味があります。ただし、その「裏側」まで読み解けるかどうかが、進学先選びの“質”を決めます。保護者が医師である家庭ほど、数字のトリックに気づきやすい一方で、誤解もまた起こりやすいです。
私たちは、単なるランキングではなく「データの奥にある真実」を丁寧に伝えることで、志ある受験生とそのご家族に寄り添っていきたいと考えています。
▶ 医学部受験に関する詳しいご相談は、LINEでも受付中です。
https://lin.ee/eGqJGIW
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