みなさんこんにちは,千尋進学塾です。
昨年末,入塾して間もない生徒から「〇〇高校に行くにはこの時期何時間ぐらい勉強すればいいですか?」といった質問を受けました。おそらく,周りが急激に受験モードになり,不安があったのでしょう。普段の学習だけでなく,「入試講習で1日〇時間勉強する!」「直前特訓で1日塾で講習を受ける!」「塾だけでなく家庭教師も来てもらう!」など,周囲からのプレッシャーもあるのだと思います。
もちろん,誰でも少しくらいは話を盛るので,大げさな発言もあるのでしょう。話に尾ひれはひれがつくのもこの時期特有です。中学3年生にとって高校入試は初めてのことですので,聞く側の不安も増幅します。また,必要以上に不安を煽る我々の業界も改善すべきところはあるかと思います。
まず,ひとりひとりの能力差について考えてみます。ここでいう能力差は「得意・不得意」と言い換えていいと思います。「読解力も暗記力もないが,毎日コツコツ反復して勉強する継続力がある」「普段はほとんど勉強しないけれどもテスト前の集中力がすごい」「暗記が得意だが,授業中にあまり聞かない」「授業にとても集中するので,家での勉強時間は最小限」「知識が豊富で何でも吸収するし,失敗をおそれない性格なのでなんにでも挑戦できるが,コツコツ努力するのはニガテ」など,さまざまな児童・生徒がいます。
そんな中で,「勉強時間」だけを指標にしても大丈夫なのでしょうか?
答はおそらくノーです。
ポイントは内容で区切ることだと思います。最初に「英作文の練習問題を10本書いて先生に提出する」「令和〇年度の英語の問題を解く」「令和〇年度の英語の問題の答え合わせと見直し・復習をする(ルーズリーフにポイントを書き出す)」「〇年分の数学の計算問題を解く」「間違えた文章題を先生に聞きに行く」「今まで間違えた理科の記述問題の問題と回答をノートにまとめる」「過去問演習で間違えた漢字問題を熟語で3回ずつ書く」など,タスクを考えます。そして,1日の目標を決めるのがベストだと思います。
また,「それができたら好きなことをしていい」というルールを作れば,「できるだけ早く効率よく終わらせよう」という思考が働きます。そうすれば,ダラダラと勉強するのではなく,勉強時間が濃密なものになるかと思います。
勉強の内容に自信をもって取り組み,目標を達成すればモチベーションも上がります。自分で選択して,自分で決めて,自分でがんばったことに対して,自己実現の達成感・充実感・有能感を持ち,内発的動機となります。そうすれば,周りからの声掛け(ほめ言葉やご褒美)などがなくても,次の目標に向かって努力できる人間になれます。本来は,そういったサイクルが必要なのです。
高校生の勉強法も同じです。
時間ではなく,内容(タスク)で勝負しないとこの先が辛いです。
追伸
最後に,塾や学校の先生方へ。
学校や塾で勉強時間を記録する表を書かせたり提出させたりするのをもうやめませんか?
「時間より内容」というのは勉強だけでなく仕事も同じです。ダラダラと残業して会社に残って…という時代ではもうないはずです。「効果的なタスクの実行を考案し,効率よく終わらせる」というのが理想のはずです(あくまでも理想ですが)。
同じように,小学生・中学生・高校生も,勉強時間で自己満足させたり管理したりするのは悪影響だと思います。なぜなら,そこには虚偽が含まれる可能性が大きいからです。正直に書く子がどのぐらいの割合でいますか?子どもたちに嘘をつかせることにもつながります。精神的な負担が大きいにも関わらず,効果が薄いと思います。