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【高校数学のその先へ】行列って何?──文系理系を問わず広がる数学の世界

ノートに行列の式を書きながら勉強している高校生の手元。開いた数学の教科書とペンが机の上に置かれている。

「行列」と聞いて、何を思い浮かべますか?

昔の高校生(私もその一人でした)にとっては、「数学Cの話でしょ?」という印象が強いかもしれません。実際、かつては高校数学で「行列」が教えられていた時期がありました。しかし今では、行列は高校範囲から外れ、大学数学の扉を開いた先で出会う存在となっています。

けれど、ここで一つ疑問が浮かびます。

「高校で行列を習わないのに、大学で突然出てくるの?」

答えは「Yes」であり、そして「No」でもあります。


■ 行列とは?──数字の並んだ“表”のようなもの

行列とは、数字を四角い表のように並べたものです。たとえば:

| 1  2 |
| 3  4 |

これは「2行2列の行列」と呼ばれます。これを使うと、複数の数式やデータを一括で扱うことが可能になります。

高校生に馴染みのある「ベクトル(向きと大きさを持った量)」も、実は「行列の一部」と捉えられるんです。


■ 行列はどこで使うの?──数学を超えた応用

行列は、数学だけでなくさまざまな分野で活躍しています:

  • 物理や工学:力の方向を変えたり、振動を表したり
  • 経済学:複雑な収支バランスをモデル化
  • CG・アニメーション:キャラクターの動きや視点の変化を制御
  • AIやデータサイエンス:ニューラルネットワークの基礎は行列演算!

数学が苦手だと思っている人も、実は日々、行列の恩恵を受けているかもしれません


■ 高校数学とのつながりは?

行列は現在、高校数学には含まれていませんが、実はさまざまな単元と裏でつながっています

高校数学の単元行列との関係
ベクトルベクトルは1列の行列と考えることができる
数学Ⅰ(一次関数)行列を使えば、複数の一次関数をまとめて扱える
数学A(確率)状態遷移(マルコフ連鎖)などで行列が登場
数学Ⅱ(指数・対数)指数行列という考え方が応用される
数学Ⅲ(微積)線形代数と組み合わせて、変化の構造を表現できる

高校数学をしっかり理解していれば、大学で行列に出会っても「これはあのときの延長だ」と感じられるはずです。


■ なぜ今、高校生に「行列」を知ってほしいのか?

千尋進学塾では、学校の枠を超えた「思考の深さ」や「つながりの理解」を大切にしています。

行列の考え方を少しでも知っていると、数学がより立体的に見えてくるはずです。
そして、将来理系に進まない生徒にとっても、データ社会の中で「構造を捉える力」は必須

「答えのある計算」だけでなく、「答えを整理する構造」にまで意識が向く。
それが、行列の世界なのです。


■ 昔は数学Cで習っていました…でも、もっと昔は?

私が高校生だったころ、「行列」は数学Cという教科の中に含まれていました。
その代わり、「複素数平面」は履修範囲に入っておらず、学ばないまま大学へ進学するケースもありました。

ところが、「もっと前」の世代――現在の60代くらいまでの方々は、高校で複素数平面を学んでいた可能性が高いのです。
当時は「代数・幾何」や「基礎解析」などの名称で、現在とは大きく異なる科目編成でした。

その後、学習指導要領の改訂により、数学Cという教科は一度廃止され、複素数平面は数学Ⅲに組み込まれました。
そして最近になって数学Cが復活し、複素数平面はそちらに再び移されたという経緯があります。

一方、行列は高校数学のカリキュラムから外れたままで、大学に進学してから初めて学ぶのが一般的です。

まとめると…
・60代前後までの方々:「複素数平面?高校で習ったよ」
・40〜50代の方々:「行列は習ったけど、複素数平面はなかった」
・現在の高校生:「複素数平面は数学C、行列はなし」

こうしてみると、同じ「高校数学」でも、世代によって学んできた内容は驚くほど違うことが分かりますね。


■ まとめ:行列は、未来の数学への入り口

今は高校で習わないからこそ、好奇心を持って「ちょっとかじってみる」ことが、他の人と一歩差をつけるチャンスになります。

千尋進学塾では、受験に向けた基礎学力だけでなく、将来に向けて「なぜ学ぶのか?」を大切にした授業を行っています。
もしこの記事で興味がわいた方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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