最近、授業中にとても面白いやり取りがありました。
数列の一般項を求める問題で、生徒が次のような式を書いてきたのです。
aₙ = 1/2(3ⁿ - 1)
一見それっぽい。
計算結果も、a₁=1、a₂=4、a₃=13…と、正しく見える。
でも――実は、これは完全な偶然の一致による「誤答」なんです。
与えられた漸化式
問題はこうでした。
- 初項:a₁ = 1
- 漸化式:aₙ₊₁ = aₙ + 3ⁿ
このとき、一般項 aₙ を求めよ。
正しい導き方
これは「加法型漸化式」と呼ばれるタイプで、前の項に何かを毎回足していく構造です。
書き出してみましょう。
a₁ = 1
a₂ = 1 + 3¹
a₃ = 1 + 3¹ + 3²
a₄ = 1 + 3¹ + 3² + 3³
…
aₙ = 1 + 3¹ + 3² + … + 3ⁿ⁻¹
ここで出てきたのが「3¹から3ⁿ⁻¹まで」の等比数列の和。
公式にあてはめて:
aₙ = 1 + 3 × (3ⁿ⁻¹ − 1)/(3 − 1) = (3ⁿ − 1)/2
これが正解です。
では、なぜ「1/2(3ⁿ − 1)」が間違い?
この式は「3⁰から3ⁿ⁻¹まで足した場合」に使う形です。
しかし今回の数列は「3¹から」なので、項数が1つ少ないし、初項も違う。
つまり、
- ✔️ 項数のカウントミス
- ✔️ 初項を3⁰=1と見誤っている
というダブルミスが発生しています。
もう一つのよくある間違い:「1/2(3ⁿ⁻¹ − 1)+1」
これも実際にあった解答です。
これを書いた生徒の気持ちはよく分かります。
「1+等比数列の和」という意識があるのは素晴らしい。
でも、計算が噛み合っていない。
具体的に:
n = 3 のとき
誤答:1/2(9 − 1) + 1 = 4 + 1 = 5
正解:(27 − 1)/2 = 13
⇒ 全然違います!
このミスは、「3から始まる等比の和なのに、公式をそのまま使ってしまった」ことによるもの。
公式は便利ですが、条件に合わせて調整しないと間違えるのです。
生徒にどう伝えるか?〜実際の指導場面から〜
1.「公式は中身を確認してから使うもの」
「この公式、初項いくつ用だっけ?」
「3⁰から? 3¹から? どこからどこまで足してる?」
2.図や表で項の並びを可視化する
a₁ = 1
a₂ = 1 + 3¹
a₃ = 1 + 3¹ + 3²
a₄ = 1 + 3¹ + 3² + 3³
↑ここがラスト
3.ちょっと笑える例えで印象づける
- 「この数列は“3の先払い”じゃなくて“3の後払い”やぞ」
- 「3⁰は“未払い”やから、足しちゃダメ」
- 「公式にぶち込む前に“数列の身分証明書”を確認!」
まとめ:公式より「状況の読み取り」が大事!
今回のような加法型の漸化式では、
公式の丸暗記よりも「どこからどこまで足してるか」が命です。
数列を“見る”ことに慣れてくると、ミスは自然と減っていきます。
千尋進学塾では「ミスを深掘りして学びに変える」指導を行っています
ただの正解・不正解だけで終わらせず、
「なぜ間違えたか」「その考えはどこまで合ってたか」を丁寧に確認。
生徒自身が「次はこう考えればいいんだ」と納得できる指導を行っています。
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