Aくんは野球が大好きでした。
一生懸命練習し、中学でもエースで4番。
目標はもちろん、甲子園出場!そして全国優勝!!
自宅近くに、甲子園常連の強豪校がありました。
Aくんの実力よりも、やや入試のレベルが高かったので、Aくんは一生懸命勉強しました。
見事、合格!
その高校は強豪校だけあって、合格発表のその日に「野球部入部テスト」がありました。
Aくんはもちろん、その入部テストにも合格しました。
野球部のキャプテンが言いました。
「新・高1生(実際は中3生の2月)諸君、明日からさっそく練習だ!」
Aくんは言いました。
「キャプテン!僕は入試を終えたばかりなので、疲れています。
学校が始まるまでは、のんびり遊んでいたいと思います。」
Aくんは即座に入部を取り消されました・・・。
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上の話はフィクションです。
しかしおそらく、甲子園常連高校の野球部は、どこも似たようなものでしょう。
スポーツにおける「ブランク」は、想像を絶するほどの衰えをもたらします。
すぐに新入生に練習を開始させるのは、当然でしょう。
さて・・・「勉強」にあてはめて考えてみましょう。
ちょうど今、私立中学・高校の入試が終わり、合否発表が「たけなわ」です。
合格したみなさんの多くが、4月の新学期開始まで「遊びまくり」の状態になります。
入試まであんなに毎日毎日頑張ってきたのに、合格した途端に、まったく勉強しなくなります。
大学に行かない、という選択をしているのであれば、それでも良いでしょう。
しかし、6年後・3年後には、間違いなく恐るべき「大学受験」が、大口を開けて待ち構えています。
それなのに「2ヶ月」もブランクを開けて、良いのでしょうか?
私は「勉強とは御飯と一緒」と思っています。
2ヶ月間もまったく何も食べなければどうなりますか?
非常にまずいことに、ご父兄の皆さんが率先して「子どもを遊ばせる」場合が多いのです。
「あんなに頑張ったんだから、しばらくは遊んでも良いよ」と考えるようです。
私には「昨日まで腹いっぱい御飯を食べ過ぎたから、今日から1週間、御飯を食べなくて良いよ」と言っているように聞こえます。
私は首都圏で、医学部・東大合格「率」が【恐らく日本一】の塾に勤務しています。
その塾には「東大合格者数No1の高校」「東大合格者女子数No1の高校」「いわゆる御三家」の生徒ばかりが在籍しています。
しかし「本当に実力のない生徒」が非常に多くいることに愕然とします。
話を聞くと「合格した後、遊び続けてたら、学校が始まっても勉強の習慣が取り戻せず、ずるずると高3まで過ごしてしまった」と言うのです。
石川県にいた時も、そうです。
高3になってから、石川県No1の高校から入塾希望する生徒が多くいました。
しかし、英語の5文型すら理解していない、数学の2次関数さえ怪しい、そうした生徒が多いのです。
何のために一生懸命勉強して、この中学・高校に入ったのか、本当に勿体無いことです。
私が毎年毎年、新・高1生向けの「特訓講義」を春休み中に実施するのは、こうした背景があるからなのです。
非常に大変な受験を乗り越えて来たのはわかります。
休みたい気持ちも理解できます。
特に、親御さん御自身が、精神的に休みたいと思っている点も、非常によくわかります。
しかし・・・しかし。。。。
もう一度言いますが、大学受験が待ち構えているのです。
難関大学は、そう簡単な相手ではありません。
甲子園を目指す野球部の練習は、中3の2月から始まって高3の夏までほとんど休みがありません。
高校野球では当たり前のことなのに、なぜ難関大学を目指す者が、それを「当然」と思えないのか。。。
いつも歯がゆい思いになってしまいます。
浪人は・・・・浪人は・・・子どもにとって、本当に辛いものです。
私は浪人して体重が15kgも減りました。
髪の毛も真っ白になるほど、白髪が増えました。
もちろん、大人も辛いです。
私も両親にものすごく、心配させてしまいました。
また、私自身、自分の教え子が浪人することになっただけで、胸が張り裂ける思いになります。
ましてや、我が子が浪人するとなると・・・・本当にしんどいだろうと思ってしまいます。
受験を終えて合格を勝ちとった皆様(およびその保護者の皆様)。
どうかこの時期を大事にして下さい。
「余計なお世話!」と怒鳴られ、不快に思われるかも知れません。
しかし、どうしてもこの時期に、このことを申し上げておきたかったのです。
本当にすみませんが、耳を傾けて頂ければ幸いです。
極端なことを言うようですが、大学受験が終了するまでは、受験勉強に終わりはないのです。
(当時のコメント)
いや~、このことはどれだけ強調しても、しすぎることは無いと思います。
塾や予備校に勤めていれば、その生徒の潜在能力を「ある程度」見通すことができます。
その潜在能力が、この期間に見事に崩れていくのを、目の当たりにした経験、この仕事をしている人ならば、必ずあると思います。
そして、難関大ではなく、中堅大学に合格した生徒で、
「ちゃんと高1から勉強しておけばよかった・・・」と思う生徒は、たくさんいます。
しかしその原因が、この「合格後から入学まで」の期間にあることは、プロでなくては見抜けません。
どの職業にも「プロにしか見えないポイント」ってあると思うのですが、
塾では、この「合格から入学後」、あと「小学校4年生」(中受が盛んな地域以外)が、それにあたると思います。
=書かれたかれた方がわからないため,誰か分かる方はご一報ください!=