公開日:2025年10月4日
結論(まずここだけ)
- 党員・党友票(地方票)は、都道府県ごとに開票された後、全国で合算し、国会議員票と同数の「295票」にドント式で比例配分されます。
- 決選投票では、国会議員295票に47都道府県の各1票が加わります。各都道府県の1票は、その都道府県で1回目投票の最多得票候補に入ります(ここではドント式は使いません)。
実際の投票用紙

ドント式(D’Hondt method)のしくみ
ドント式は「比例配分」の代表的な計算ルールです。各候補(または政党)の得票を 1, 2, 3, … で順に割っていき、その商を大きい順に並べ、必要な議席(ここでは295票)分だけ上から順に割り当てます。多数派にやや有利とされる一方、得票に比例した配分を実現できるのが特徴です。
かんたんな数値イメージ
例:A・B・Cの3候補の全国の党員・党友得票が A=400,000、B=350,000、C=250,000 の場合、各候補の票を 1,2,3,… で割って並べ、上位295個を拾っていくと、概ねAが最も多く、次いでB、Cの順に票が配分されます(正確な配分は全順位の比較で決まります)。
割る数 | A | B | C |
---|---|---|---|
÷1 | 400,000 | 350,000 | 250,000 |
÷2 | 200,000 | 175,000 | 125,000 |
÷3 | 133,333 | 116,667 | 83,333 |
… | … | … | … |
「都道府県別に」の正しい理解
- 1回目投票:党員・党友票は都道府県単位で開票されます。ただし配分の計算(ドント式)は全国合算の得票を基礎にして、合計295票を各候補に比例配分します。
- 決選投票:各都道府県は1票(計47票)を持ち、その票は「その都道府県で1回目に最多得票だった候補」へ入ります(ここではドント式は使いません)。
豆知識:衆議院・参議院の比例代表でもドント式
日本の国政選挙でも、比例代表の議席配分には基本的にドント式が使われています。
・衆議院:11ブロックの比例代表でドント式。
・参議院:全国比例代表でもドント式(参議院は「政党への配分=ドント式」+「候補者の当選順位=個人得票で決定」という仕組み)。
他の政党の代表選について
自民党の総裁選では1回目の党員・党友票について「ドント式」が使われていますが、他の政党の代表選挙は異なる仕組みを採用している場合があります。
たとえば、立憲民主党や国民民主党などでは、党員投票や地方組織の意見をどのように反映させるか、それぞれのルールがあります。比例配分を行うか、単純多数決か、政党ごとの考え方や組織の成り立ちが見えてきます。
制度の違いに目を向けることで、「なぜこの党はこういう仕組みにしているのか」と背景を考える手がかりになります。調べてみることで、その政党の考え方や歴史が理解できるかもしれません。
まとめ(教育的な視点)
自民党総裁選の党員・党友票は、都道府県で開票しつつ、全国で合算してドント式により「295票」に比例換算。
過半数が出なければ、各都道府県の1票が1回目最多の候補に入り、決選投票で勝者を決めます。割り算という身近な道具が、政治の公平性・代表性の形を左右している――まさに数学×社会の好例です。
参考資料
- 自由民主党「総裁公選の仕組み 2025年版」(公式PDF)
- IPU PARLINE:Japan (Shugiin) — Electoral system
- Wikipedia:Japanese House of Councillors — national PR
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